有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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本格数学クイズ (離散幾何学)

平面充填形

クイズ《正平面充填形》

 平面に $1$ 種類の正多角形を隙間も重なりもなく敷き詰める方法は, 全部で何通りあるか. ただし, 使用する正多角形はすべて同じ大きさであり, $3$ 枚以上の正多角形は頂点のみを共有する方法のみを考えるものとする.
(有名問題)
$2023/06/30$$2023/07/12$

答え

 $3$ 通り.

解説

 平面に合同な正 $p$ 角形が隙間も重なりもなく敷き詰めて, 各頂点で $q$ 個の正 $p$ 角形の辺が交わるようにできたとする. $1$ つの頂点に集まる角の和は $360^\circ$ であり, 正 $p$ 角形の内角の大きさは $180^\circ\times (p-2)\div p$ であるから, \[\frac{180(p-2)q}{p} = 360\] が成り立つ. 整理すると, \[\begin{aligned} (p-2)q &= 2p \\ pq-2p-2q &= 0 \\ (p-2)(q-2) &= 4 \end{aligned}\] となる. $p \geqq 3,$ $q \geqq 3$ から $p-2 \geqq 1,$ $q-2 \geqq 1$ であることに注意すると, \[\begin{aligned} (p-2,q-2) &= (1,4),\ (2,2),\ (4,1) \\ (p,q) &= (3,6),\ (4,4),\ (6,3) \end{aligned}\] が得られる. 正三角形, 正方形, 正六角形はそれぞれ, 次の図のように平面に敷き詰められる. ゆえに, 平面に $1$ 種類の正多角形を隙間も重なりもなく敷き詰める方法は全部で $3$ 通りある.

参考

  • 有限種類の合同な図形で平面を隙間も重なりもなく敷き詰めることを「平面充填」(tessellation) と呼ぶ. 敷き詰めに使われる平面図形を「タイル」(tile) と呼び,「タイル」で敷き詰められた平面を「平面充填形」(tessellation) と呼ぶ.
  • ピタゴラスは, $1$ 種類の正多角形を「タイル」とする「平面充填形」($3$ 枚以上の「タイル」は頂点のみを共有するもの) は正三角形, 正方形, 正六角形を使う $3$ パターンに限ることを証明した. これらの「平面充填形」を「正平面充填形」(regular tessellation) と呼ぶ.

グラフ理論

クイズ《一筆書きが可能な正多面体》

 正多面体のうち, すべての辺が一筆書きでなぞれるものはどれか.
(有名問題)
$2023/07/28$$2023/08/01$

答え

 正八面体.

解説

 オイラーの定理により, すべての辺をなぞる一筆書きができるためには, 各頂点に集まる辺の本数が偶数でなければならない, 各頂点に集まる辺の本数は, 正四面体が $3,$ 正六面体が $3,$ 正八面体が $4,$ 正十二面体が $3,$ 正二十面体が $5$ であるから, 条件を満たすのは正八面体のみである.