有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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場合の数の基本

和の法則・個数定理

問題《オイラーの関数》

 正の整数 $n$ について, $n$ と互いに素な $1$ 以上 $n$ 以下の整数の個数を $\varphi (n)$ で表す. このとき, 相異なる素数 $p,$ $q$ に対して \[\varphi (pq) = \varphi (p)\varphi (q)\] が成り立つことを示せ.
基本先例$2019/06/08$$2019/06/08$

解答例

 $1$ 以上 $pq$ 以下の整数のうち, $pq$ と互いに素な整数は, $p$ の倍数でも $q$ の倍数でもない整数である. そこで, $1$ 以上 $pq$ 以下の整数からなる集合を全体集合 $U$ として, $p$ の倍数全体を $A,$ $q$ の倍数全体を $B$ とおく. このとき, $n(A) = q,$ $n(B) = p,$ $n(A\cap B) = 1,$ $\varphi (p) = p-1,$ $\varphi (q) = q-1$ であるから, \[\begin{aligned} \varphi (pq) &= n(\bar A\cap\bar B) = n(\overline{A\cup B}) = n(U)-n(A\cup B) \\ &= n(U)-\{ n(A)+n(B)-n(A\cap B)\} \\ &= pq-(q+p-1) = pq-p-q+1 \\ &= (p-1)(q-1) = \varphi (p)\varphi (q) \end{aligned}\] が成り立つ.

参考

  • $\varphi (n)$ は「オイラーの (トーシェント) 関数」(Euler's (totient) function)と呼ばれる. 一般に, 互いに素な正の整数 $m,$ $n$ に対して \[\varphi (mn) = \varphi (m)\varphi (n)\] が成り立つ (こちらを参照).
  • また, 「オイラーの定理」(Euler's theorem) \[ a^{\varphi (n)} \equiv 1\ (\text{mod}\ n)\] の成り立つことが知られている.
  • 本問の結果と「オイラーの定理」は「RSA 暗号系」(RSA encryption) に応用されている (こちらを参照).

積の法則

問題《約数の個数の公式》

 正の整数 $n$ が $n = p_1{}^{e_1}p_2{}^{e_2}\cdots p_r{}^{e_r}$ ($p_k$: 相異なる素数, $e_k$: 正の整数) と素因数分解されるとき, $n$ の正の約数の個数 $d(n)$ を求めよ.
基本定理$2019/06/05$$2019/06/05$

解答例

 $1 \leqq k \leqq r$ なる各整数 $k$ に対して $1,$ $p_k,$ $\cdots,$ $p_k{}^{e_k}$ の中から $1$ つを選んで掛け合わせると $n$ の正の約数 \[ p_1{}^{j_1}p_2{}^{j_2}\cdots p_r{}^{j_r} \quad (0 \leqq j_k \leqq e_k)\] が得られ, 逆に $n$ の正の約数はこの形のものしかないから, \[ d(n) = (e_1+1)(e_2+1)\cdots (e_r+1)\] である.

対応の利用

問題《試合数》

(A)
$n$ 人がトーナメント戦で優勝者を決めるのに必要な試合数を求めよ.
(B)
$n$ 人が総当たりのリーグ戦を行うときの試合数を求めよ.
標準素朴$2021/04/12$$2021/04/13$

解答例

(A)
トーナメント戦では, $1$ 試合ごとにちょうど $1$ 人の敗者が決まり, 最後に $1$ 度も負けなかった $1$ 人が優勝するから, 必要な試合数は $n-1$ である.
(B)
各選手の試合数は $n-1$ である. のべ $n(n-1)$ 人の選手が出場するが, 各試合で $2$ 人の選手が出場するから, 試合数は全部で $\dfrac{n(n-1)}{2}$ である.
問題一覧 (場合の数)場合の数の基本 順列・円順列
組合せ 組分け