有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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広義積分(高校発展)

広義積分

問題《ガンマ関数》

 $n$ を正の整数とする.
(1)
$x > 0$ において $e^x > \dfrac{x^n}{n!}$ が成り立つことを示せ.
(2)
$\displaystyle\lim\limits_{x \to \infty}\frac{x^n}{e^x} = 0$ が成り立つことを示せ.
(3)
極限 $\mathit\Gamma\,(n) = \displaystyle\lim\limits_{G \to \infty}\int_0^Gt^{n-1}e^{-t}dt$ を求めよ.
(参考: $2014$ 大分大)

解答例

(1)
$f_n(x) = e^x-\dfrac{x^n}{n!}\ (x \geqq 0)$ とおく. $f_n(x) > 0$ $(x > 0)$ が成り立つことを数学的帰納法で示す.
(i)
$n = 1$ のとき. $f_1(x) = e^x-x$ から, $x > 0$ において, $f_1{}'(x) = e^x-1 > 0$ であるので, $f_1(x)$ の連続性により $f_n(x) = f_1(x) > f_1(0) = 1 > 0$ が成り立つ.
(ii)
$n = k$ ($k$: 正の整数)のとき $f_n(x) > 0$ $(x > 0)$ が成り立つとする. このとき, $f_{k+1}(x) = e^x-\dfrac{x^{k+1}}{(k+1)!}$ から, $x > 0$ において, \[ f_{k+1}{}'(x) = e^x-\frac{x^k}{k!} = f_k(x) > 0\] となるので, $f_{k+1}(x)$ の連続性により $f_{k+1}(x) > f_{k+1}(0) = 1 > 0$ となり, $n = k+1$ のとき $f_n(x) > 0$ $(x > 0)$ が成り立つ.
(i), (ii) から, すべての正の整数 $n$ に対し, $x > 0$ において, $f_n(x) > 0$ つまり $e^x > \dfrac{x^n}{n!}$ が成り立つ.
(2)
$x > 0$ において, (1) から $e^x > \dfrac{x^{n+1}}{(n+1)!}$ であるので, \[ 0 < \frac{x^n}{e^x} < \frac{(n+1)!}{x}\] が成り立つ. $x \to \infty$ のとき右辺は $0$ に収束するから, 挟みうちの原理により, $\lim\limits_{x \to \infty}\dfrac{x^n}{e^x} = 0$ が成り立つ.
(3)
各正の数 $G$ に対して $\mathit\Gamma _G(n) = \displaystyle\int_0^Gt^{n-1}e^{-t}dt$ とおく. $n \geqq 2$ のとき, \[\begin{aligned} \mathit\Gamma _G(n) &= \int_0^Gt^{n-1}(-e^{-t})'dt \\ &= \big[ t^{n-1}(-e^{-t})\big] _0^G-\int_0^G(n-1)t^{n-2}(-e^{-t})dt \\ &= -G^{n-1}e^{-G}+(n-1)\mathit\Gamma _G(n-1) \end{aligned}\] であるので, $G \to \infty$ のときの極限をとると, (2) の結果から \[\mathit\Gamma\,(n) = (n-1)\mathit\Gamma\,(n-1)\] が得られる. また, \[\begin{aligned} \mathit\Gamma\,(1) &= \lim\limits_{G \to \infty}\int_0^Ge^{-t}dt = \lim\limits_{G \to \infty}\big[ -e^{-t}\big] _0^G \\ &= \lim\limits_{G \to \infty}(-e^{-G}+1) = 1 \end{aligned}\] であるから, 正の整数 $n$ に対して \[\mathit\Gamma\,(n) = (n-1)\cdots 1\cdot\mathit\Gamma\,(1) = (n-1)!\] が成り立つ.

参考

  • 閉区間 $[a,b]$ における連続関数 $f(x)$ の定積分 $\displaystyle\int_a^bf(x)dx$ の $a$ または $b$ に関する極限を「広義積分」(improper integral)と呼ぶ. 例えば, \[\begin{aligned} \int_0^be^{-x}dx &= \big[ -e^{-x}\big] _0^b = -e^{-b}+1 \\ &\to 1 \quad (b \to \infty ), \\ \int_a^1\log xdx &= \big[ x\log x-x\big] _a^1 = -1-(a\log a-a) \\ &\to -1 \quad (a \to +0) \end{aligned}\] であるから, \[\lim\limits_{b \to \infty}\int_0^be^{-x}dx = 1, \quad \lim\limits_{a \to +0}\int_a^1\log xdx = -1\] である. ただし, $\lim\limits_{a \to +0}a\log a$ は, $\lim\limits_{t \to \infty}\dfrac{\log t}{t} = 0$ (こちらを参照)から \[\lim\limits_{a \to +0}a\log a = \lim\limits_{a \to +0}\left( -\frac{\log a^{-1}}{a^{-1}}\right) = -\lim\limits_{t \to \infty}\dfrac{\log t}{t} = 0\] と求めた. これらの「広義積分」は, それぞれ \[\int_0^\infty e^{-x}dx = 1, \quad \int_0^1\log xdx = -1\] と表される.
  • 「広義積分」 $\mathit\Gamma\,(x) = \displaystyle\lim\limits_{G \to \infty}\int_0^Gt^{x-1}e^{-t}dt$ $(x > 0)$ で定義される関数 $\mathit\Gamma\,(x)$ を「ガンマ関数」(Gamma function)と呼ぶ. 本問で示したように正の整数 $n$ に対して $\mathit\Gamma\,(n) = (n-1)!$ が成り立つから,「ガンマ関数」は階乗の概念を一般化した関数である.
(最終更新日: $2022/06/24$)

問題《アネェージの曲線と漸近線が囲む図形の面積》

 $a > 0$ とする. 「アネェージの曲線」$y = \dfrac{a^3}{a^2+x^2}$ (こちらを参照)と $x$ 軸で囲まれた図形の面積 $S$ は, \[ S = \lim\limits_{A \to \frac{\pi}{2}-0}\int_{-a\tan A}^{a\tan A}\frac{a^3}{a^2+x^2}dx\] と表される. $S$ の値を求めよ.

解答例

 $x = a\tan \theta$ と置換すると, $\dfrac{dx}{d\theta} = \dfrac{a}{\cos ^2\theta}$ から \[\begin{aligned} \int_{-a\tan A}^{a\tan A}\frac{a^3}{a^2+x^2}dx &= 2a^3\int_0^{a\tan A}\frac{dx}{a^2+x^2} \\ &= 2a^3\int_0^A\frac{1}{a^2(1+\tan ^2\theta )}\cdot\frac{a}{\cos ^2\theta}d\theta \\ &= 2a^2\int_0^Ad\theta = 2a^2[\theta ]_0^A = 2a^2A \\ &\to 2a^2\cdot\frac{\pi}{2} = \pi a^2 \quad \left( A \to \frac{\pi}{2}-0\right) \end{aligned}\] となるので, \[ S = \pi a^2\] である.

問題《減衰曲線に関する面積の極限》

 正の整数 $n$ に対して, 曲線 $y = e^{-x}\sin x$ $(0 \leqq x \leqq n\pi )$ と $x$ 軸が囲む図形の面積の総和を $S_n$ とおく. 極限値 $\lim\limits_{n \to \infty}S_n$ を求めよ.

解答例

\[ T_k = \int_{(k-1)\pi}^{k\pi}e^{-x}|\sin x|dx \quad (1 \leqq k \leqq n)\] とおく.
このとき, \[ S_n = \int_0^{n\pi}e^{-x}|\sin x|dx = \sum\limits_{k = 1}^nT_k \quad \cdots [1]\] となる. $x = t+(k-1)\pi$ とおくと, $0 \leqq t \leqq \pi$ において \[ |\sin x| = |\sin (t+(k-1)\pi )| = |(-1)^{k-1}\sin t| = \sin t\] となるから, \[ T_k = e^{-(k-1)\pi}\int_0^\pi e^{-t}\sin tdt\] となる. $I = \displaystyle\int e^{-t}\sin tdt$ とおくと, \[\begin{aligned} I &= \int e^{-t}(-\cos t)'dt \\ &= -e^{-t}\cos t-\int e^{-t}\cos tdt \\ &= -e^{-t}\cos t-\int e^{-t}(\sin t)'dt \\ &= -e^{-t}\cos t-e^{-t}\sin t-I \end{aligned}\] から
$I = -\dfrac{1}{2}e^{-t}(\sin t+\cos t)+C$ ($C$: 定数)
となるので, \[\begin{aligned} T_k &= e^{-(k-1)\pi}\left[-\frac{1}{2}e^{-t}(\sin t+\cos t)\right] _0^\pi \\ &= \frac{1+e^{-\pi}}{2}e^{-(k-1)\pi}\quad \cdots [2] \end{aligned}\] である. $[1],$ $[2]$ から, 求める極限値は, \[\begin{aligned} \lim\limits_{n \to \infty}S_n &= \lim\limits_{n \to \infty}\sum\limits_{k = 1}^nT_k = \lim\limits_{n \to \infty}\sum\limits_{k = 1}^n\frac{1+e^{-\pi}}{2}e^{-(k-1)\pi} \quad \cdots [3] \\ &= \frac{1+e^{-\pi}}{2}\cdot\frac{1}{1-e^{-\pi}} = \frac{e^{\pi}+1}{2(e^\pi -1)} \end{aligned}\] である. 最後から $2$ 番目の等号は, $[3]$ が初項 $\dfrac{1+e^{-\pi}}{2},$ 公比 $e^{-\pi}$ の無限等比級数であることによる.

参考

 本問の関数 $y = e^{-x}\sin x$ が表すような, 振幅が指数関数的に小さくなる振動を「減衰振動」という.
(最終更新日: $2022/06/24$)

問題《デカルトの葉線で囲まれた図形の面積》

 極方程式 \[ r = \frac{3\cos\theta\sin\theta}{\cos ^3\theta+\sin ^3\theta} \quad \left( 0 \leqq \theta \leqq \dfrac{\pi}{2}\right)\] で表される曲線で囲まれた図形の面積 $S$ を, 次の公式と置き換え $t = \tan\theta$ によって求めよ: 閉区間 $a \leqq \theta \leqq b$ で定義された連続関数 $r(\theta )$ に対して, 極方程式 $r = r(\theta )$ で表される曲線と直線 $\theta = a,$ $\theta = b$ で囲まれた図形の面積 $S$ は \[ S = \frac{1}{2}\int_a^br(\theta )^2d\theta\] である. ただし, $\displaystyle\int_0^\infty f(t)dt = \lim\limits_{G \to \infty}\int_0^Gf(t)dt$ と解釈する.
(参考: $2015$ 横浜市立大)

解答例

\[ r = \frac{3\cdot\dfrac{\sin\theta}{\cos\theta}\cdot\cos ^2\theta}{\left( 1+\dfrac{\sin ^3\theta}{\cos ^3\theta}\right)\cos ^3\theta} = \frac{3\tan\theta}{(1+\tan ^3\theta )\cos\theta}\] であり, $t = \tan\theta$ とおくと $\dfrac{dt}{d\theta} = \dfrac{1}{\cos ^2\theta}$ となるから, \[\begin{aligned} S &= \frac{1}{2}\int_0^{\frac{\pi}{2}}\frac{9\tan ^2\theta}{(1+\tan ^3\theta )^2}\cdot\frac{1}{\cos ^2\theta}d\theta \\ &= \frac{1}{2}\int_0^\infty\frac{9t^2}{(1+t^3)^2}dt \\ &= \frac{3}{2}\lim\limits_{G \to \infty}\int_0^G\frac{3t^2}{(1+t^3)^2}dt \\ &= \frac{3}{2}\lim\limits_{G \to \infty}\int_0^G\frac{(1+t^3)'}{(1+t^3)^2}dt \\ &= \frac{3}{2}\lim\limits_{G \to \infty}\left[ -\frac{1}{1+t^3}\right] _0^G \\ &= \frac{3}{2}\lim\limits_{G \to \infty}\left( -\frac{1}{1+G^3}+1\right) = \frac{3}{2} \end{aligned}\] が得られる.

参考

  • $a > 0$ とする. 直交座標の方程式 $x^3+y^3-3axy = 0,$ または極座標の方程式 $r = \dfrac{3a\cos\theta\sin\theta}{\cos ^3\theta+\sin ^3\theta}$ で定義される曲線 $C$ を「デカルトの葉線」(folium of Descartes)と呼ぶ.
  • $C$ で囲まれた図形の面積は $\dfrac{3}{2}a^2$ である.
  • 直線 $x+y+a = 0$ は $C$ の漸近線である. 実際, $C$ 上の点 $(x,y)$ について \[\begin{aligned} x^3+y^3+a^3-3axy &= a^3 \\ (x+y+a)(x^2+y^2+a^2-xy-ya-ax) &= a^3 \\ (x+y+a)\{ (x-y)^2+(y-a)^2+(a-x)^2\} &= 2a^3 \end{aligned}\] が成り立つから, \[\begin{aligned} &\lim\limits_{x \to \pm\infty}(x+y+a) \\ &= \lim\limits_{x \to \pm\infty}\frac{2a^3}{(x-y)^2+(y-a)^2+(a-x)^2} = 0 \end{aligned}\] である. これは, 直線 $x+y+a = 0$ が $C$ の漸近線であることを示している.
  • $C$ と漸近線 $x+y+a = 0$ で挟まれた部分の面積も $\dfrac{3}{2}a^2$ であることが知られている.

問題《ガブリエルのラッパ》

(1)
双曲線 $y = \dfrac{1}{x}$ と $x$ 軸, 直線 $x = 1,$ $x = G\ (G > 1)$ で囲まれた図形を $x$ 軸の周りに $1$ 回転させてできる立体 $P_G$ を考える. $G \to \infty$ のとき, $P_G$ の体積 $V_G$ の極限を求めよ.
(2)
区間 $[a,b]$ において連続な関数 $f(x)$ のグラフと $x$ 軸, 直線 $x = a,$ $x = b$ で囲まれた図形を $x$ 軸の周りに $1$ 回転させてできる立体の側面積 $S$ は \[ S = 2\pi\int_a^b|f(x)|\sqrt{1+f'(x)^2}dx\] であることが知られている. $G \to \infty$ のとき, (1) の回転体 $P_G$ の側面積 $S_G$ の極限を求めよ.

解答例

(1)
\[ V_G = \pi\int_1^G\frac{dx}{x^2} = \pi\left[ -\frac{1}{x}\right] _1^G = \pi\left( -\frac{1}{G}+1\right)\] であるから, 求める極限値 \[\lim\limits_{G \to \infty}V_G = \lim\limits_{G \to \infty}\pi\left(-\frac{1}{G}+1\right) = \pi\] である.
(2)
与えられた公式により \[ S_G = 2\pi\int_1^G\frac{1}{x}\sqrt{1+\left( -\frac{1}{x^2}\right) ^2}dx\] であり, $\sqrt{1+\left( -\dfrac{1}{x^2}\right) ^2} \geqq 1$ であるから, \[ S_G \geqq 2\pi\int_1^G\frac{dx}{x} = 2\pi [\log x] _1^G = 2\pi\log G\] が成り立つ. $G \to \infty$ のとき右辺は $\infty$ に発散するから, 追い出しの原理により, 求める極限は \[\lim\limits_{G \to \infty}S_G = \infty\] である.

参考

 上記の立体は「ガブリエルのラッパ」(Gabriel's horn)または「トリチェリのトランペット」(Torricelli's trumpet)と呼ばれ, 体積は有限だが, 表面積が無限である立体として有名である.

問題《ガウス積分》

 $xyz$ 空間において, 曲線 $z = e^{-x^2},$ $y = 0$ を $z$ 軸の周りに $1$ 回転することで得られる曲面 $z = e^{-x^2-y^2}$ と $xy$ 平面が挟む立体を $M$ とする.
(1)
$M$ と円柱 $x^2+y^2 \leqq t^2,$ $0 \leqq z \leqq 1$ の共通部分の体積 $V(t)$ を求めよ.
(2)
$M$ と正四角柱 $|x| \leqq t,$ $|y| \leqq t,$ $0 \leqq z \leqq 1$ の共通部分の体積 $W(t)$ を, $\displaystyle\int_{-t}^te^{-x^2}dx$ を用いて表せ.
(3)
(1), (2) の結果を使って \[\lim\limits_{t \to \infty}\int_{-t}^te^{-x^2}dx = \sqrt\pi\] であることを示せ.
(参考: $1989$ 東京大)

解答例

(1)
$M$ と円柱 $x^2+y^2 \leqq t^2,$ $0 \leqq z \leqq 1$ の共通部分を平面 $z = e^{-t^2}$ で $2$ つに切り分けて考える. $z = e^{-x^2}$ のとき, $x^2 = -\log z,$ $z > 0$ であるから, \[\begin{aligned} V(t) &= \pi t^2e^{-t^2}+\pi\int _{e^{-t^2}}^1x^2dz \\ &= \pi t^2e^{-t^2}-\pi\int_{e^{-t^2}}^1\log zdz \\ &= \pi t^2e^{-t^2}-\pi\left[ z\log z\right] _{e^{-t^2}}^1+\pi\int _{e^{-t^2}}^1z\cdot\frac{1}{z}dz \\ &= \pi t^2e^{-t^2}+\pi e^{-t^2}\log e^{-t^2}+\pi (1-e^{-t^2}) \\ &= \pi (1-e^{-t^2}) \end{aligned}\] である.
(2)
$M$ と正四角柱 $|x| \leqq t,$ $|y| \leqq t,$ $0 \leqq z \leqq 1$ の共通部分の $x$ 座標が $x$ である断面の面積 $S(x)$ は $S(x) = \displaystyle\int_{-t}^te^{-x^2-y^2}dy$ と表されるから, \[\begin{aligned} W(t) &= \int_{-t}^tS(x)dx \\ &= \int_{-t}^t\left(\int_{-t}^te^{-x^2-y^2}dy\right) dx \\ &= \int_{-t}^t\left(\int_{-t}^te^{-x^2}e^{-y^2}dy\right) dx \\ &= \int_{-t}^te^{-x^2}\left(\int_{-t}^te^{-y^2}dy\right) dx \\ &= \left(\int_{-t}^te^{-y^2}dy\right)\left(\int_{-t}^te^{-x^2}dx\right) \\ & = \left(\int_{-t}^te^{-x^2}dx\right) ^2 \end{aligned}\] が成り立つ.
(3)
$M$ の体積について \[\lim\limits_{t \to \infty}V(t) = \lim\limits_{t \to \infty}W(t)\] が成り立つので, \[\begin{aligned} \left(\lim\limits_{t \to \infty}\int_{-t}^te^{-x^2}dx\right) ^2 &= \lim\limits_{t \to \infty}\left(\int_{-t}^te^{-x^2}dx\right) ^2 \\ &= \lim\limits_{t \to \infty}\pi (1-e^{-t^2}) \\ &= \pi \end{aligned}\] から, $\displaystyle\lim\limits_{t \to \infty}\int_{-t}^te^{-x^2}dx = \sqrt\pi$ である.

参考

  • さいころの目のようにとびとびの値をとる変数(離散的確率変数)に対する確率だけでなく, 長さや時間のように連続した値をとる変数(連続的確率変数) $X$ に対して確率を考えることもしばしば必要である. このような確率を考えるには, $X$ に $f(x) \geqq 0$ なる実数値関数 $f(x)$ を対応させて, $a \leqq X \leqq b$ となる確率 $P(a \leqq X \leqq b)$ が定積分 $\displaystyle\int_a^bf(x)dx$ の値と一致するようにする. このとき, $f(x)$ を $X$ の確率密度関数と呼ぶ. 代表的な確率分布の $1$ つである正規分布に従う確率変数の確率密度関数は
    $\dfrac{1}{\sqrt{2\pi\sigma ^2}}e^{-\frac{(x-\mu )^2}{2\sigma ^2}}$ ($\mu$: 期待値, $\sigma ^2$: 分散)
    であり,「ガウス積分」と呼ばれる「広義積分」$I = \displaystyle\int_{-\infty}^\infty e^{-x^2}dx = \lim\limits_{G \to \infty}\int_{-G}^Ge^{-x^2}dx$ の値をもとに定まる.
  • 本問では $e^{-x^2}$ のグラフの回転体の体積を使って $I$ の値を求めたが,「ガウス積分」$I$ は「ガンマ関数」(こちらを参照)を使うと \[\begin{aligned} I &= \lim\limits_{G \to \infty}2\int_0^Ge^{-x^2}dx \\ &= \lim\limits_{G \to \infty}2\int_0^Ge^{-u}\cdot\frac{1}{2}u^{-\frac{1}{2}}du = \mathit\Gamma\left(\frac{1}{2}\right) \end{aligned}\] と表される. 「ベータ関数」について, 正の整数 $x,$ $y$ に対して \[ B(x,y) = \frac{\mathit\Gamma\,(x)\mathit\Gamma\,(y)}{\mathit\Gamma\,(x+y)}\] が成り立つことは別の問題(こちらを参照)で示した通りであるが, これは正の数 $x,$ $y$ に対して成り立つことが知られている. $x = y = \dfrac{1}{2}$ にこの公式を適用すると, \[ B\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2}\right) = \frac{\mathit\Gamma\left(\dfrac{1}{2}\right)\mathit\Gamma\left(\dfrac{1}{2}\right)}{\mathit\Gamma\,(1)} = I^2\] となる. \[\begin{aligned} B\left(\frac{1}{2},\frac{1}{2}\right) &= \lim\limits_{a \to +0}\lim\limits_{b \to 1-0}\int_a^b\frac{dt}{\sqrt{t(1-t)}} \\ &= \lim\limits_{\alpha \to +0}\lim\limits_{\beta \to \frac{\pi}{2}-0}\int_\alpha ^\beta\frac{2\sin\theta\cos\theta d\theta}{\sin\theta\sqrt{1-\sin ^2\theta}} \\ &= \lim\limits_{\alpha \to +0}\lim\limits_{\beta \to \frac{\pi}{2}-0}2\int_\alpha ^\beta d\theta = 2\int_0^{\frac{\pi}{2}}d\theta = \pi \end{aligned}\] であるから, $I = \sqrt\pi$ が成り立つ.
  • (2) の解答で現れたような「多変数関数」の積分は「重積分」と呼ばれる.
(最終更新日: $2022/06/24$)

問題《曲線の等周問題》

(1)
実数値関数 $g(t)$ $(0 \leqq t \leqq \pi )$ は, $g(0) = g(\pi ) = 0$ を満たし, $0 < t < \pi$ において微分可能であり, $g'(t)$ は連続であるとする. $0 \leqq a \leqq \pi$ のとき $g'_\pm (a) = \displaystyle\lim\limits_{h \to \pm 0}\frac{g(a+h)-g(a)}{h}$ (複号同順)と定め, $v(t) = \dfrac{g(t)}{\sin t}$ $(0 < t < \pi )$ とおく. $g'_+(0),$ $g'_-(\pi )$ を用いて $\lim\limits_{\varepsilon \to +0}v(\varepsilon ),$ $\lim\limits_{\varepsilon \to +0}v(\pi -\varepsilon )$ を表せ.
(2)
(1) の $g(t)$ に対して, \[\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\{ g'(t)^2-g(t)^2\} dt \geqq 0\] が成り立つことを示せ. また, 等号が成り立つときの $g(t)$ を求めよ.
(3)
$xy$ 平面上の曲線 $C:x = f(t),$ $y = g(t)$ $(0 \leqq t \leqq \pi )$ がある. $0 < t < \pi$ において, $f(t),$ $g(t)$ は微分可能で, $f'(t),$ $g'(t)$ は連続であるとし, $f'(t)^2+g'(t)^2 = 1$ を満たす. さらに, $0 < t < \pi$ において $f'(t) > 0$ であり, $f(0) = g(0) = g(\pi ) = 0$ を満たすとする. $C$ と $x$ 軸が囲む図形の面積を $S$ とおく. このとき, \[ S = \int_0^{f(\pi )}ydx = \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}g(t)f'(t)dt\] を使って \[ S \leqq \frac{\pi}{2}\] が成り立つことを示せ. また, 等号が成り立つときの $C$ の媒介変数表示を求めよ.
(参考: 山梨大)

解答例

(1)
$g(0) = g(\pi ) = 0$ と $g'_+(0),$ $g'_-(\pi )$ の定義から, \[\begin{aligned} \lim\limits_{\varepsilon \to +0}v(\varepsilon ) &= \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\frac{g(\varepsilon )-g(0)}{\varepsilon}\cdot\frac{\varepsilon}{\sin\varepsilon} = g'_+(0), \\ \lim\limits_{\varepsilon \to +0}v(\pi -\varepsilon ) &= -\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\frac{g(\pi -\varepsilon )-g(\pi )}{-\varepsilon}\cdot\frac{\varepsilon}{\sin\varepsilon} = -g'_-(\pi ) \end{aligned}\] が成り立つ.
(2)
$g(t) = v(t)\sin t$ であるから, 積の導関数の公式により \[\begin{aligned} &g'(t)^2-g(t)^2 \\ &= \{ v'(t)\sin t+v(t)\cos t\} ^2-v(t)^2\sin ^2t \\ &= v'(t)^2\sin ^2t+2v(t)v'(t)\sin t\cos t+v(t)^2(\cos ^2t -\sin ^2t) \\ &= v'(t)^2\sin ^2t+v(t)v'(t)\sin 2t+v(t)^2\cos 2t \\ &= v'(t)^2\sin ^2t+\frac{1}{2}\{ v(t)^2\sin 2t\} ' \\ &\geqq \frac{1}{2}\{ v(t)^2\sin 2t\} ' \end{aligned}\] が成り立つ. よって, $0 < \varepsilon < \pi$ のとき \[\begin{aligned} &\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ g'(t)^2-g(t)^2\} dt \\ &\geqq \frac{1}{2}\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ v(t)^2\sin 2t\} 'dt = \frac{1}{2}[v(t)^2\sin 2t]_\varepsilon ^{\pi -\varepsilon} \\ &= \frac{1}{2}\{ v(\pi -\varepsilon )^2\sin 2(\pi -\varepsilon )-v(\varepsilon )^2\sin 2\varepsilon \} \end{aligned}\] であるので, (1) の結果から \[\begin{aligned} &\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int _\varepsilon ^{\pi -\varepsilon}\{ g'(t)^2-g(t)^2\} dt \\ &\geqq \frac{1}{2}\{ g'_-(\pi )^2\sin 2\pi -g'_+(0) ^2\sin 0\} = 0 \end{aligned}\] が得られる. 等号成立は, $0 < t < \pi$ において $v'(t)^2\sin ^2t = 0$ つまり $v'(t) = 0$ である場合に限り, このとき, ある実数 $a$ について
$v(t) = a$ つまり $g(t) = a\sin t$
となる.
(3)
(2) の結果から, \[\begin{aligned} 0 &\leqq \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\{ g'(t)^2-g(t)^2\} dt \\ &= \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\{ 1-f'(t)^2-g(t)^2\} dt \\ &= \pi -\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\{ f'(t)^2+g(t)^2\} dt \end{aligned}\] が成り立つ. よって, \[\begin{aligned} &\pi -2S \\ &\geqq \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\{ f'(t)^2+g(t)^2\} dt-2\lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}g(t)f'(t)dt \\ &= \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\{ f'(t)^2+g(t)^2-2f'(t)g(t)\} dt \\ &= \lim\limits_{\varepsilon \to +0}\int_{\varepsilon}^{\pi -\varepsilon}\{ f'(t)-g(t)\} ^2dt \geqq 0 \end{aligned}\] であるから, $2S \leqq \pi$ が成り立つ. また, 等号成立は,
$f'(t) = g(t) = a\sin t$ ($a$: 実数)
の場合に限る. このとき, $f(0) = 0$ から, $f(t) = a(1-\cos t)$ である. さらに, $f'(t)^2+g'(t)^2 = 1$ から, $a = 1$ である. ゆえに, 等号が成り立つときの $C$ は \[ x = 1-\cos t, \quad y = \sin t \quad (0 \leqq t \leqq \pi)\] と表される.

参考

 周の長さが一定の図形のうち面積が最大の図形を求める問題を「等周問題」と呼ぶ(三角形の場合はこちらこちらを参照). 本問の結果から, 周の長さ $L$ の曲線と直線が囲む図形の面積 $S$ について, $S \leqq \dfrac{L^2}{\pi ^2}\cdot\dfrac{\pi}{2} = \dfrac{L^2}{2\pi}$ であることがわかる(等号成立は半円の弧の場合). さらに, 周の長さ $L$ の曲線が囲む図形の面積 $S$ について, 周の長さを $2$ 等分する直線によって分けられた部分の面積が $\left(\dfrac{L}{2}\right) ^2\div 2\pi$ 以下であることから, $S \leqq \dfrac{L^2}{4\pi}$ の成り立つことがわかる(等号成立は円周の場合). この不等式は,「等周不等式」と呼ばれる.
(最終更新日: $2022/06/24$)